野ぶたのつぶやき

野ぶたの日々を淡々と

八重の桜「第5回 松陰の遺言」

大河ドラマの感想を毎回書いてみよう」と続けてみましたが…そろそろ書けることが無くなってきました。友達に大河の感想を毎回書いてる人がいるんですが…あれは歴史に関して、山ほど引き出しのある人だからこそやれることなんだな、と改めて思います(苦笑)

 

ドラマとしては、行き過ぎた攘夷派の動きとそれに呼応した(せざるを得なかった)会津藩の立場の解説。ほんと丹念に「薩長じゃない側」の立場を解説していきます。

少々極論を言えば幕末は「男の戦いの場」。だからこそ、女性ヒロインの大河はそれぞれの男の立場を客観的に描きやすいのかな、と。そういえば薩摩側に近い立場の書き方でしたが篤姫もそうでした。

 

「男の争い」を「男の主人公」で描くと、どうしてもその主人公の側に感情移入してしまうし、そうでなければ「敵」に感情移入してしまう。客観的に見づらい(特に男性にとっては)。

今回ヒロインの八重にしたって、幕末に活躍した人ではあるけども、幕末の流れを変えた人物ではない。「広い意味での部外者」だからこそ、客観的に語れる部分はあるし、後世のもんが「上から目線的に」歴史を見るにはいい感情移入場所なのかもしれない。そういえば、「女の争い」をわざわざ性転換して、「男の争い」に変換して描いた「大奥」なんてドラマも最近評判になってましたし、これも女性視聴者がほどよい感情移入をするための仕組みだと考えれば理解しやすい。そういうトレンドが「歴史ドラマ界」にあるのかな、という感じはします。

 

「無駄な抵抗」とまとめられがちな戊辰戦争を「やむにやまれぬ背景のあった争い」として描こうとする流れはおもしろく。それだけに「ただ話をややこしくしただけ」と書かれがちな東北の他の藩の動きもどう描くか楽しみになってきました。ややこしくせざるを得ない事情の背景にあった飢饉あたりまでに手を出すと確実に話が破綻しそうですが…どこまで手を広げるかが興味深いところです。

 

どうでもいいですが、長谷川京子演ずる八重の義姉が今回はやたらと表情豊か。初出はなんだったんだろうか、って感じの演技。

「かわいい女優」が受けるしそういう人に注目しがちですが、たまにはこういう正統派の美人女優の演技をじっくりみられるのもええもんです。