野ぶたのつぶやき

野ぶたの日々を淡々と

八重の桜「第1話 ならぬことはならぬ」

数年前、兵庫県豊岡市の出石に皿そばを食べに行ったとき、ついでに郷土資料館に寄ったのです。

そこで、明治時代に活躍した出石出身の人物の紹介がされていたのが印象深く(名前は失念)。幕末の戦争で幕府側についた出石藩士たちは、新政府の下ではなかなか登用がかなわなかったらしく。そんな中、政府がバックにつく役所や官業ではなく、民間の人間として成功した出石藩士がいて、その人の偉業をがっつりと紹介していたのです。

 

ここまで書いても名前を全く思い出さないと言うことは、恐らくは中学の歴史にはほとんど出てこない程度の歴史人物なんでしょう。

しかし「勝てば官軍」的なまとめられ方をしがちな幕末~明治史において、「賊軍」側は必要以上に低く評価されがちで、また歴史的にもその当時的にも軽視されがち。そんな”軽視された人たち”が生き抜こうとする働きとその結果、それを自分も軽視しすぎていた者の一人だったんだな、と、皿そばで膨れた腹をさすりながらしみじみ思ったのです。

 

今回の大河の主人公として設定されている「八重」もそういう”軽視された人”の一人、として見るとなかなか興味深い人物。

旧幕府側でもっとも「めんどくさい反抗」をした会津藩出身でなおかつ女性、というその当時的には”軽視される”要素をたっぷり兼ね備えた人物を中心にして、幕末から明治を見てみる。ひねくれもんにはなかなか面白い場面設定の大河ドラマかな、と感じています。

 


…という大枠の話はさておいて…

とにかく映像はきれいです。「映画用のカメラを使った」という話ですが、演出含めて映画風です。「映画のような美しい現実は今も昔もなかったはずだ!」と言われればぐうの音も出ませんが…まぁ、なんやかんや言うてもお話やし…。

あと、第一話にしか出演しなさそうですが、のちに綾瀬はるかが演ずる”八重”の子供役を演ずる鈴木梨央さんの方言が秀逸です。福島方言はあまり聞いたことがないのでどの程度正確なのかは判別しかねますが…私のような「東北在住経験のある大阪人」程度ならば完全にだましきれるレベルの方言演技です。福島県にご縁のある方は再放送でいいので一度見て感想を教えていただきたい、そう思います。

 


実のところ、個人的には福島県での「戊辰戦争、忘るまじ」教育運動って好きじゃなかったりします。独りよがりが鼻につくだけでなく、ヨソモノ排除意識をもれなくセットでつけてくれるやり方だから。

今回の大河がその福島の側の立場を踏まえつつ、”会津側”でも”新政府側”でもないより大きな視点を提示できるのか。これから数回の見どころはそこかな、と注目していたます。