野ぶたのつぶやき

野ぶたの日々を淡々と

火怨・北の英雄 アテルイ伝「第1話 蝦夷(えみし)と呼ばれた人々」

通じて見ての率直な感想を言うとすれば「で、蝦夷は何を食うて生きとったんや?」の一言に尽きる。

このドラマに限らず「戦ものの歴史ドラマ」に共通してることなんですが、華々しい戦シーンとそれに関わる戦人に焦点が置かれ、戦のないときの日々の生活には注目されない。でも日々の生活から得られる生産物が潤沢にあるからこそ戦をする道具を作ったり兵糧を用意することができる。

ヤマトはその「潤沢な生産物」が稲作であったことが自明なのでいいのですが、蝦夷はそこまで単純ではない。高度な灌漑設備を必要としない場所でそれなりの規模の稲作が蝦夷自身の手で行われていたのは確かなのですが(その辺を含め、ドラマに出ていたような段々畑で稲作が行われていた可能性は低い)、狩猟採集を主たる生業にしていた蝦夷もいた。そして、ヤマトはそれらを一緒くたにして「蝦夷」と呼んでいたわけですが、そんな蝦夷どうしが社会的・経済的にどのようにどの程度つながっていたのかはよく分からない。

 

だからこそ、ドラマを見れば見るほど「で、この蝦夷たちは何を食うて何のために戦ってるんや?」という疑問が深まる。それを「家族や一族のものを救うため」という”愛のため”と単純化をするものアリっちゃアリなんですが…なんか浅くは感じる。

 

45分×計4回の尺では、これくらいが限界といえば限界で。それを補って余りあるくらいの超豪華キャストで人間ドラマが繰り広げられる。そこを素直に楽しめばいいんだとは思いますが、ね。