野ぶたのつぶやき

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ソウル一泊二日旅行~交通機関編~

一泊二日でソウルに行ってきました。

「海外は行ってみないと分からんな」というのが総括。最も行きやすい距離にある外国で、実際に往来も多く、情報もマスメディア・ネットメディアともに多いはずの国なんですが、2日間の行程で感じるものは多かった。

その中で、行く前は最も期待しておらず、それでいて最も考えさせられたのが、鉄道を初めとする交通機関なのです。

 

まずは仁川空港の到着口。当たり前のように、日本語が添えられています。

このような多言語対応は、鉄道機関では当たり前。日本だと「古い列車は対応したくても…」という反応になりそうですが、どこまで悪くても液晶表示器に英語表示は入れるようにしている。

↑ソウルメトロ2号線の車両。1990年製造の鋼鉄車。こんな列車でも車内液晶表示は追加され、車内Wifiアンテナも設置。

↑当たり前のように、全駅ホームドア設置。

↑券売機はタッチパネル式。当然のごとく日本語モードあり。

 

液晶表示しかり、ホームドアしかり「後から付けられる”新しいものは全部付ける”」という姿勢で、ハードウェア的なサービスは正直なところ日本より一歩先を行っている感があります。

 

かわりに、といっては何ですが無人化は進んでいる。

ICカードの普及は進んでいて便利なんですが…ちゃんとタッチできていないときの通知が、ちょっと微妙。自分自身、とある駅の乗車時にちゃんとタッチできていなかったのに気づかず目的駅まで行ってしまい、到着駅に駅員がおらず困った。

検札器にあるCallボタンで駅員を呼んで対応、という形でちゃんと解決はしましたが…その途中「ここを通れるから通っちまえよ」的な誘導をする地元民も居て…恐らくは多少の料金取り漏れを覚悟してのシステムなのかもしらん。韓国の「ケンチャナ文化」の一端なのでしょう。

 

一方で、「交戦装置としての交通」という側面も、間々感じられた。端的なのは各駅に設置された「毒ガスマスクボックス」。

全般に駅は深く、核シェルターとしての役割を果たせる作りになってる。

 

そして、鉄道ファンとしてなにより驚いたのは、地下鉄のほとんどが「架線式」、つまり地上の鉄道と同じパンダグラフから電気を取る方式であること。韓国の鉄道が標準軌ゲージでそれにあわせた大きな車両を使っていることを考えると、トンネルを掘るためのコストばかりかかって旅客鉄道的にはあまりメリットはありません。「車両が気持ち広めでいいな」ってくらい。

相互乗り入れがしやすい、というメリットはあって、実際に国鉄・市営交通・民間鉄道をあわせた交通・料金体系を取ってはいるのですが、最初からそのように考えていたとは考えがたい。電化方式は交流・直流が入り乱れており、実際「交直両用車両」で運行されている路線もある(ソウルメトロ1号線など)。

 

考えられるのは「軍事目的」なのです。軌間と車両限界さえあわせておけば、その気になれば貨車に乗せて軍事物資や軍事車両を輸送できる。あのゆったりしたトンネルならば、おそらく無蓋貨車でジープぐらいは運べるでしょうし、あの複雑な地下鉄道網は北朝鮮人民軍の目にはたちの悪い塹壕のように写るでしょう。

軍事目的で余裕を持って作られた施設を、平時に市民や外国人にも利用しやすくするにはどうしたらいいのか、という哲学のようなものが垣間見られた地下鉄網でした。

 

なお、仁川空港は自分が今まで見た空港の中で最も大きく、最も国際的な空港だった。

帰りはその空港を北北西に向かって離陸したのですが、離陸後すぐに南北の軍事境界線付近が窓から見える。軍事境界線となる川や海岸線を照らす白い照明群(密出入国対策?)、そしてその後ろには電気の気配がない真っ黒な大地、そこに時折光る灯台の光。夜遅くまで屋台が開いている明洞の繁華街とは対照的な北の姿でした。まあ…北の将軍様に「資本主義者の堕落」と言われたらそこまでですが…。


ソウル・新世界百貨店のクリスマスツリー

 

 

 今回は時間の問題で乗り合いバスに乗れなかった。

空港鉄道と平行する高速道路のETCレーン(韓国でそう呼ぶのかは知らないが)を「30km/h」という注意表示をはるかに上回るスピードで駆け抜けていく高速バスを見て、少々恐れをなしている部分もあるんですが…都心部ではバス専用レーンを用意してたり、先駆的な部分もあるようなんで機会があれば是非試してみた交通機関です。

 

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 ↑道路中央に設置されたバス専用レーン。日本で似た例を挙げるなら、名古屋の基幹バス?