野ぶたのつぶやき

野ぶたの日々を淡々と

ソウル一泊二日旅行~対日観~

韓国という国家にはどこか「反日国」という印象があり、実際いくつもの国際問題を抱えていて、その度にその印象は強くなれど弱くなることはなかった。一方で、韓流好きの人からは韓国のアイドルが仕事だけでなくプライベートでも日本に来ていて、日本を楽しんでいることも聞いていた。矛盾する事実と情報を自分の中で処理できずにいた。一応は理系の端くれ、実際に見たものを信じるのが筋ではないか、という気持ちは旅行前からあった。

 

旅行でみた結果を総括するなら「旅行者の目ではなかなか”反日嫌日要素”を見いだせない」というのが本音ではないか、と。その端的な例が「(いろんな誤解含みの)日本食ブーム」です。

↑弘大(ホンデ)の南にあった日本風居酒屋

↑ソウル駅近くロッテマート併設のフードコート。…「とんかつ載せたら日本料理と思ってるんちゃうか」と小一時間問い詰めたい

↑こちらも弘大界隈。開店祝いの花輪が並ぶ「キリンビール」を置いた料理店の隣には、「サッポロビール」を扱う料理店が…

 

確かに…日本人的にはツッコミどころのある部分なのです。しかし、少なくとも日本が嫌いでしゃあなかったら、こんなに日本料理(?)店ができないだろうと。

「ブームが去ったら、すぐに違う店に変えてしまう」という韓国外食業界のことですから、この風潮がいつまで続くかはわかりません。しかし、「現時点で、日本に興味を持つ人が少なからず居る」ことの証明にはなるんじゃないか、と。

 

さすがに歴史が絡むと、日本に対する見方はやや厳しくなりますが、日本人がイメージするより冷静に歴史問題を扱っている印象はある。それを感じたのが「ソウル歴史史料館」。「朝鮮・韓国の教育史」に関連する史料を展示した施設。

↑教育史料館正面

↑「日帝時代」の教科書も展示

 

朝鮮王朝時代の教育システムに関係する史料から、近代に入って構築されかけた韓国独自の教育システム、それに続いて導入された日本語での教育、という極めて客観的な紹介。片隅に「朝鮮教育の研究」と書かれた当時の日本語書を置いていて、「大日本帝国なりに朝鮮半島の教育を考えた人もいた」という取り上げ方。…文句の付け所がない。

ちなみにこの施設に入ってすぐあるのが「昔の駄菓子屋」を再現したブース。

他にも「昔の遠足先」「運動会の風景」「昔の制服」など、視覚に訴える展示物が多く、それは日本人にも共感しうるものだった。韓流ドラマの学校シーンが日本人からもそれなりに共感を得るのは、そういう部分もあるのやもしれません。なお、この教育史料館は入場無料です。

 

「日本を責めたいんだろうな」という文脈を、旅行中で唯一感じられたのは朝鮮王朝の宮殿・景福宮の最も奥にある建物。ここに李氏朝鮮の第26代王・高宗の妃で、日本人に暗殺された閔妃についての展示があり、それに関する解説動画もあった。

…まあ責められて当たり前の場所なんですが、そんな場所でも「景福宮を保存すべき」と主張した日本人の存在を紹介するのは忘れない。

 

韓国にも日本に悪い感情を持っている人は居るんでしょうが、歴史問題も含めて冷静に見て行動している層も確実に存在する。少なくとも、国民皆が火病ってるわけではないし、そんな部分ばかりを紹介する日本の人や特定メディアの言説は眉唾ものではないか。そんな印象を受けました。